外国人人材と一言で言っても、持っている在留資格によって在留期間や働ける業種が異なります。自分の会社にどのような外国人材を導入するべきなのか最適な判断ができるように、まずは外国人人材の制度や受け入れの流れについて知っていきましょう。
外国人労働者数は10年で約110万人の増加
深刻な人手不足を解消するため、政府は在留資格の新設や見直しを行うなど、外国人の受け入れを推進しています。現在日本では年々外国人労働者の人口が増加しており、2016年に100万人を突破し、2019年には前年比より13.6%増となる165万人を突破しました。
2009年と比べてこの10年で約110万人の外国人労働者が増えていることがわかります。
国籍は中国人が一番多いですが、直近の推移を見るとベトナム人が大幅に増加しています。
在留資格とは、外国人が日本で住むために必要になる資格のことです。外国人雇用の際に耳にする「就労ビザ」とは、全29種類ある在留資格のうち、就労が許可されている資格のことを指します。
在留資格によって在留期間や就労可能な範囲が異なるため、自分の会社にどのような在留資格を持っている外国人人材が必要なのかを考えましょう。
就労を目的とした在留資格のピラミッド
大学や専門学校で学んだ専門的な知識を生かして就労を行う在留資格です。在留期間は5年、3年、1年または3ヶ月とあり、申請回数に制限がないため、申請を繰り返し行えばそれだけ日本に在留することができます。在留期間が10年を越えれば永住権の獲得もできるため、優秀な技術者を長期的に雇いたい会社に向いています。
在留期間 | 5年、3年、1年または3ヶ月ごとの更新。繰り返し更新を行うことで期限なく日本にいられます。 |
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【職業例】
介護福祉士
NC機プログラマー
ITプログラマー
製造・開発の技術者
マーケティング職
通訳・語学講師
2019年4月よりスタートした新たな在留資格「特定技能」は、14種の分野において人手不足解消のため外国人を取り入れるということを目的とした制度です。受け入れた企業は、特定技能を持つ外国人に対し、日本での就労活動や日常生活が円滑に送れるよう支援を行わなくてはなりません。在留期間は特定技能の在留期間は、特定技能1号が通算で5年間の在留期間になります。特定技能2号は在留期間の更新を行えば期限なく在留できますが、現在特定技能2号に上がれる分野は2つしかありません。特定技能2業の分野は今後拡大予定です。
分野 | 在留期間 | |
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特定技能1号 | 介護、ビルクリーニング、素材型産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業 | 1年、6ヶ月または4ヶ月ごとの更新で通算5年まで。 |
特定技能2号 | 建設業、造船・船用工業(今後拡大予定) | 3年、1年または6ヶ月ごとの更新。繰り返し更新を行うことで期限なく日本にいられます。 |
【業務例】
建物内部の清掃
身体介護
機械検査・保全
板金加工
溶接
塗装
建築大工・とび
宿泊施設のフロント
飲食店の接客
飲食料品の製造・加工
農産物の管理・出荷
漁具の製作・補修
日本で働きながら得た知識・経験を母国の発展に活かす、という目的のために開始された在留資格です。技能実習生を受け入れられる職種は決まっており、技能実習2号を取得していると特定技能1号へ在留資格の変更を行うことができます。受け入れには団体管理型を利用している企業が多く、団体管理型とは技能実習生の管理業務を行う事業協同組合などの非営利団体です。
分野 | 在留期間 | |
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技能実習1号 | 職種、作業に制限はありません。 | 在留期間は1年または6ヶ月。移行対象職種で定められている分野の実技試験と学科試験に合格すると技能実習2号に移行でき、在留期間を延長になります。 |
技能実習2号 | 農業、漁業、建設関係、食品製造関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係、印刷・製本、自動車整備、塗装、ビルクリーニング、宿泊、介護など全82職種、150作業 | 該当する職種・作業が技能実習2号に移行できます。在留期間が通算3年に延長します。実技試験を受けて更に技能実習3号への移行も可能。技能実習2号から特定技能へ移行もできます。 |
技能実習3号 | 技能実習3号への移行対象は75職種、133作業と数が減ります。 | 該当する職種・作業が技能実習3号に移行できます。技能実習2号終了後に一度帰国をする必要がありますが、再度入国時に2年の在留期間が設けられます。 |
留学生で資格外活動許可を所持している場合、アルバイトとして就労を行うことができます。ただし資格外許可を持っていない留学生の就労は認められていませんので雇用には注意が必要です。また、就労時間も1週間で28時間以内と定められています。
就労目的の在留資格 | 本来の目的が就労ではない在留資格 |
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「技能」「看護」「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」 | 「技能実習」「留学生」 |
技術・人文知識・国際業務や技能、看護の在留資格は、大学卒業レベルの専門職の知識を日本で生かすため、特定技能は人手不足に陥っている業種の労働力確保を行うための在留資格です。逆に技能実習は日本企業で得た知識・経験を母国に帰って活かすため、留学生は就労ではなく学業が目的です。
本来の目的とは異なる在留資格を選ぶと就労時間や作業範囲の制限が多く、純粋な労働力として見込めない場合もありますので、雇用する際には、就労に適した在留資格を持つ外国人人材を選ぶと良いでしょう。
外国人人材の採用パターンは主に国内と国外の2つになります。国内と国外では入社までにかかる時期や必要な手続きが異なるため、違いを把握してどちらが自分の会社に適しているか考えましょう。
国外で採用する場合 | 国内で採用する場合 | |
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面談から入社までに かかる期間 |
日本に入国するために在留資格の申請など手続きが必要なため、最短でも4ヶ月程かかる。 | 在留資格の変更や更新がない限りは採用決定後、すぐに入社できる。 |
必要な手続き |
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在留資格「特定技能」の場合
在留資格「技術・人文・国際業務」の場合
日本国内にいる外国人は日本語能力が高く、在留資格に変更・更新がない限りはすぐに就労を開始できます。海外にいる外国人は日本に入国するために時間や費用がかかりますが専門知識や経験の高い人材を選ぶこともできます。自分の会社に必要なのはどういう外国人なのかをしっかり考えて選びましょう。
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